大阪府にも緊急事態宣言が発令され、ご自宅で過ごされておられることと思います。前回は「モノ」の整理についてお話しましたが、今回は「情報」の整理についてお話したいと思います。
総務省の「情報白書H30年度版」によるとインターネット利用者の割合は60歳代で73.9%、70歳代で46.7%、80歳代で20.1%になっています。高齢者といえども現代の生活にはパソコンやスマートフォンなどデジタル情報は不可欠なものとなってきました。
身近になったデジタル情報が、予想だにしなかった事故や病気などで所有者が死亡し後に遺されたものを「デジタル遺産」と言われるようになりました。
そのデジタル遺産の種類と今から備えておけることを考えてみましょう。
「デジタル遺産」は主にオンラインデータとオフラインでデータの二つに分けられます。
◆オフラインデータ
PC、スマホ(携帯)、タブレット、モバイルルーター内にあるデータ
データの例 |
◎備えておくべきこと・書き出しておくべきこと(家族に伝える)
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写真、動画、テキスト、メールのやり取り、閲覧履歴などに残っている個人情報 |
l ログイン情報(ID・パスワード)を紙に書きだしておく (家族に伝えておく) l 不要なデータはこまめに削除する。 l 見られたくないデータはパスワードをかけたフォルダーに入れる l 保存しているデータや自分のPCやスマホの整理・処分についての具体的な希望を伝えておく |
◆オンラインデータ
利用しているインターネットサービス上にあるデータ
サービスの例 |
◎備えておくこと・書き出しておくべきこと(家族に伝える)
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クレジットカード情報
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l 使用しているクレジットカードの種類(家族カード・ETCの有無) l ログイン情報(ID・パスワード、登録のメールアドレス) l パスワードを忘れた時の質問と答え(わかる場合) l 引き落とし銀行口座 l 年会費の有無
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ネットバンキング 証券会社 (株、FX等) インターネットサービスがある自動車保険等 仮想通貨、課金サービス等
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l 利用している銀行名、証券会社名 l 利用しているサービス・運用状況 l ログイン情報(ID・パスワード、登録のメールアドレス) l パスワードを忘れた時の質問と答え(わかる場合 |
SNS、ブログ等 (Facebook Instagram Twitter等)
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l 利用しているSNSなどのURLやアカウント情報の一覧 l 費用の発生の有無 l ログイン情報(ID・パスワード、登録のメールアドレス) l 死後に残しておくか削除するか決めておく、残しておく場合悪用されないように注意が必要 |
ネットサービス (動画配信、新聞電子版、クラウドサービス等)
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l 不要なサービスは解約する l 契約しているサービスをリストアップする l ログイン情報(ID・パスワード、登録のメールアドレス) l 死後に費用が発生しないか注意 |
スマホ決済サービス |
l あまり使用しないサービスは解約する l 契約しているサービスをリストアップし家族が確認できるようにする l ログイン情報(ID・パスワード、登録のメールアドレス) |
孫や他人が写っている写真 |
l グーグルDropbox等同期先のクラウドのURLやアカウント情報の一覧 l ログイン情報(ID・パスワード、登録のメールアドレス) l 子どもの写真等は悪用される危険性があるので注意が必要です |
どうでしょうか?
すべてのデジタル情報にアクセスする場合、必ずIDとパスワードが必要です。
元気なうちに利用しているインターネットサービスのアカウント情報を紙に書き出しておき、書いたものがどこにあるのかを家族に伝えておきましょう。
特にインターネットバンキング、証券等は相続の時に重要になってきます。
パソコンやスマホのパスワード情報を残していなかった場合、専門業者に依頼しロック解除してもらうことになりますが、その場合成功報酬で約23万円~かかるといわれています。
また、ネットサービスでは故人になり代わってアクセスし削除しようとすると「不正アクセス防止法」という法律に抵触することにもなるので注意が必要です。その場合は専門家(弁護士、司法書士)に依頼するのがいいでしょう。
家にいる時間が長くなったこの時期だからこそ、今の生活を見直すチャンスととらえ、インターネットサービスは本当に必要なものだけにし、不要なサービスは解約する。ID・パスワードは紙に書いておきましょう。
利用しなくなった通販サイト等の会員登録は削除。使わないアプリ、昔の文章など不要はファイルは速攻!削除しましょう。
ファイナンシャルプランナー 坂本典子